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怒りの日か、革命記念日か [研究関連]

2011年1月25日は、「怒りの日」でなければ革命記念日か。

2006年に始まった「レバノンのヒズブッラー」(青山・末近 [2009: 184-187)が最終局面に入ったわけだが、あとは新閣僚の顔ぶれで「レバノンのヒズブッラー度」が計り知られることになる。むろん、組閣までには相当な時間がかかることが予想される。仮にムスタクバルが組閣に協力するとしても、拒否権を行使できる11ポスト以上を獲得できるとは考えにくい。

3月14日勢力が国民議会選挙に勝利しながらも内閣においては「野党」に転落することを、国際社会はどのように受け止めているのか。ほとんどが批判的な見解であることは言うまでもないが、しかしながら、首班はあくまでもスンナ派のミーカーティーであり、また、コンセンサス・デモラクシーのなかでの連立政権であるため、レバノン新政権をパレスチナ自治政府のハマース政権と同じように「テロリスト政権」などと扱うことはできない(そもそもハマース政権は民主的に選ばれた政権である)。民主会合ブロックを軸とした政界再編がなされた今、選挙結果にもとづく与野党の分類自体がもはや無効だとする反論もあり得る。

いずれにせよ、確かなのは、ヒズブッラーは安保理決議第1559号に遡る武装解除の圧力とレバノン特別法廷による起訴という2つの危機を打破するために有利な立場を得たことである。しかし、露骨に政権を牛耳ることで様々な批判の矢面に立つようなことは現実的ではない。むしろ、「挙国一致内閣」や「国民の総意」のような形式をとりながら、一方では「真の権力」とも呼ぶべき拒否権(11ポスト+α)を確保することで、一歩引いたところから政府の意志決定に絶対的な影響力を行使することを目指しているように見える。

ヒズブッラー(ヒズボラ)の政権独占、暴力による権力掌握、民主主義の停止、さらには国家のイスラーム化などヒステリックな言説が目立つ(腹立つ)が、「レバノンのヒズブッラー化」は、それほど単純な話ではない。
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